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住職のコラム(120) 

年の瀬の折、また、このようなご時世、みなさまおかわりありません?
このような現況にもかかわらず、正福寺は老若男女、多世代にわたり、びっくりするくらいたくさんの方々がお参り下さっています。

*あなたには、泣きたいときに泣ける場所があります。それは、正福寺の本堂です。 (事務所入り口・掲示版参照・本願寺ホームページより。)

*さて、ある初老の男性です。60歳後半くらいでしょうか?4ヶ月くらい前のことだったでしょうか?奥さまが脳梗塞で突然倒れられ、入院されたそうです。と同時に新型コロナウィルスの影響で面会すらできず、その無念さからなのでしょう。
毎日寺にお参りにこられ、必ずまず本堂に上がられお参りをされ、その後、奥さんのご実家の納骨堂にお参りされるようです。たびたびお姿は拝見しますが、おそらくご心中をお察し申し上げると、奥さんに早く良くなって欲しい!という祈りの気持ち、とともにだれかに話さざるを得ない無念さ・ぐち、を少しでもはらさんとされておられるのでしょう。仏の本意からは外れているかも知れません。
その思いは十分拝察することができます。少し前かな、二言三言、お話を伺ったことがあります。
 
僧侶がご門徒様との間でなすべきこと、それは「話を聞く」こと。どうしても「話をする」ことに重きを置きがちですが・・・。私ごときには何もできません。お恥ずかしいですが・・・。
そこでこちらから声をかけず、阿弥陀さまにおまかせするしかありません。お帰りの際は、気のせいかも知れませんが、少し柔らかな表情をしておられるような気がしています。

*同じようなご年齢の男性の方。(気持ちお若いかな?)
一年半くらい前、奥さまを突然亡くされ、正福寺の納骨堂の権利を取得され、ご遺骨をお預かりしています。一周忌を済まされ、ご主人はお医者さんでありましたので、法事は病院がお休みの日曜日になされて、実際のご命日の日は、病院が午後から休診だったのでしょう。納骨堂にお参りに来られました。住職自身がご縁がなく、少し気になったので、お帰りの際に事務所に声をかけてくださいとお願いしました。
すると、「二時間ぐらいかかります。」と返答いただきました。事務所で雑務をこなしておりましたが、なかなかお声をかけていただけなかったのです。
たまたま、事務のものが本堂の内陣の電球を変えに行ったところ、本堂の椅子にその先生が座っておられたようです。おそらく何の言葉を交わされるわけでもなく、お内陣を眺められながら、ご本尊を眺められながら奥さんのこと、偲んでおられたのかな?やっぱり気づいてからおりてこられるまで、二時間くらいだったと記憶しています。

  愚痴を言うなら仏さまの前がいい
  人に話すと嫌われるか、うなずかれるか 
  仏さまは「うんうん」と聞いてから
  そっと頭をおさえてくれる
  「愚痴だったなぁ」と気づかされる。
  愚痴をいうてた同じ口からお念仏がこぼれる(フェイスブックより)

*相田 みつを【心の詩・空を見上げて】
     泣
  強がりなんか
  いうことないよ
  やせがまんなど
  することないよ
  だれにえんりょがいるもんか
  声をかぎりに
  泣くがいい
  ただひたすらに
  泣けばいい

*【相田みつを・人間だもの・55頁】
    ぐち
  ぐちをこぼしたって
  いいがな
  弱音を吐いたって
  いいがな
  人間だもの
  たまには涙を
  みせたって
  いいがな
  生きているんだもの 

*蓮如上人は御文章
【五帖四通・抑男子・女人章・注釈版聖典1190頁現代語訳154頁】
阿弥陀如来と申すいう仏さまは、諸仏にすぐれて、十悪五逆等といわれる罪業の特に深いこの私たちを救うてやりたいと大きな誓願をおこされて、阿弥陀如来とおなりくださった仏さまであります。と味あわれておられます。

*十悪(五逆)の罪人であるわたしから功徳いっぱいのお念仏がこぼれる。なんとありがたいことでありましょう。(浄土真宗辞典・304頁)

*ご本尊、阿弥陀さまは、喜びも悲しみもすべてありのままで受け止めて下さいます。
川村 妙慶先生は{あなたはあなたのままでいい}とおっしゃっておられます。

*本来諸仏の本意は
「諸仏が世に出られ、釋尊がさとりを開かれて教えを説かれた本意は、凡夫は弥陀の本願を疑いなく信じて、正定聚(必さとり・{心の迷いがとけて真理を会得すること}の位にいたり、浄土に往生することを根本(物事の成り立っている起源)としなさいということである。」これを解脱といいます。
*煩悩の束縛から解放されて、輪廻し続ける迷いの世界から脱すること。【一念多念証文【20】・注釈版聖典693頁・現代語訳38頁】

*今、お寺離れが叫ばれています。
実は過日、これまで正福寺の法灯維持に多大なるご貢献を下された方が、97歳で往生なされたので、お礼方々お悔やみにうかがいました。わたしがお寺に帰ってきてから30年くらい前から、可愛がってくださった方です。その時、姪御さんかな、こうおっしゃいました。
「わたしは子供の頃(60年位前?)お寺に良く遊びに行っていた。ばあちゃん(多分住職からすると祖母?)にかわいがってもらった(ポテトサラダ大好きだったそうです。はじめて知りました。)お寺が遊び場だったのよ」と。

*今は、・・・・。自責の念に駆られました。お寺の方が力みすぎて、ご門徒のみなさまに構えられてしまい、かえって縁遠くなってしまっているのではないか実感しています。

 「ほんとうの力は 力みを抜く力である」(僧侶必携486)

*お寺の本堂は朝7時から夕方5時まで開いており、どなたさまも自由にお参りいただけます。(10:00〜11:00まではお勤めをしています。)
ぐち、吐きに来てください。涙を流しに来てください。あなたの還る場所と考えていただいていいと思います。。故郷なら、安心して愚痴、吐き出していただけるのではないですか?だれにも遠慮はいりません。
本堂には外から直接入っていただけますので、事務所にいる私たちもどなた様がお参りされているか分かりませんし、お声かけすることもありません。(お望みであれば、お話を伺います)。
正福寺の本堂は、そんな場所です。

【令和2年12月13日作成・文責・住職釋哲了】
寺院イメージ

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寶林山 正福寺

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